徳蔵寺／今日の德藏寺

　戦前の徳蔵寺は裏に小高い丘があり、清水が涌き庭の井戸からは、良質の水が出て近隣の家々に竹管で配られていた。
　本堂は東南向きで、お寺として最高の場所であり、行事も十夜法要(徳蔵寺の十夜法要は、双盤と太鼓による珍しい念仏法要）と三輪・塩地蔵法要会、庚申供養会など行事も多く参拝人も多かったと伝えられている。
　徳蔵寺は隣接地に官有地があり、また鉄道用地があった為、明治41年1月2日、汽車の火の粉によって茅葺の屋根より出火したが、幸い焼失は免れた。
　戦時中の昭和19年に沿線の強制撤去で庫裡が解体され、唐銅製の地蔵尊も、同年3月24日に大東亜戦争の供出に遇ってしまった。
　大空襲で火の粉が飛んできて、竹の棒で消すのが大変であったことは芳頴和尚より聞いている。昭和21年に仮庫裡が出来上がるまでは不便な事であったと感じられる。この御蔭で本堂が残った事が戦後の興隆につながるのであり、当時の住職の苦労が窺われる。
　

その後、鉄道用地の拡張、道路の拡幅等によって、境内地の地形が数回変わり、昭和34年には首都高速二号線の工事の影響で寺門維持が難しくなったため、昭和40年3月に三階建ての本蛍を建立した。そして30有余年、建物老朽化著しくなり末代までの維持困難との判断により、平成15年4月、時の加藤隆宣師の多大なる甚力により再び近代的な寺院に生まれ変わったのである。これも当寺歴代住職の努力と、総代並びに壇信徒各位の永年の御協力の賜物である。又明治以後歴代住職の中でも、特に野田元海師、加藤真隆師、加藤芳頴師の功績は真に著しいものがあり、住職の妻として命終された元海妻だい、真隆妻誉名、芳頴妻光枝の方々の内助の功に対しては、共に衷心より感謝の意を表するものである。

長命山地蔵院徳蔵寺 　

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